小児科・内科・循環器内科
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成人用3種混合ワクチン(Tdap)
Boostrix:GlaxoSmithKleine社
1回0.5mlを筋注します。
日本では昭和44年から3種混合ワクチンが定期接種となりました。一時、副反応が問題となり中止となりましたが、百日咳の発症が増加しました。成分の変更で安全性が向上し現在まで改善後のものが使用されてきました。平成24年11月から不活化ポリオを加えた4種混合ワクチンが定期接種となりました。
小学校高学年以後は百日咳の抗体は低下してしまいます。日本では2種混合ワクチンが定期接種ですが、海外では副反応をなくすため百日咳とジフテリアの抗原量を減らしたTdapが抗体価を引き上げるブースターとして使われています。10年に一度の追加接種です。アメリカでは妊婦さんはこのワクチンを受けて新生児を百日咳から護っています。国によっては新生児室の面会にはこのワクチンを接種していない人は新生児室での面会を禁止されます。
院長は以前産科医院の新生児室で新生児が無呼吸発作でチアノーゼとなり、新生児専用救急車で出動し、気管内挿管を実施しながらNICUに収容しました。気管内の培養で百日咳菌が陽性であった症例を経験しました。新生児では特に重症化する事もあるのを実感しております。
当院では海外出張者には3種混合の少量接種で代用してきましたが副作用が原理的により少ないTdapの輸入と接種を開始しました。学生で海外留学では日本のDPTではなくてTdapを要求されます。海外出張でもできれば当ワクチンをお勧めします。
ブースターとしての使用ですので基礎免疫がある人(定期接種を受けている年齢の人)に10年に一度接種します。
H30.7.19更新
海外渡航ワクチン
接種間隔と渡航後の追加接種
破傷風
■昭和43年以前生まれ
- 1回目:DPT、4混、Tdap、破傷風トキソイド
- 2回目:3から4週後:破傷風トキソイド追加
- 3回目:1年後
■昭和44年以後生まれ
- 1回目:DPT、Tdap,4混
- その後10年に一度Tdap
A型肝炎
- 1回目:他のワクチンと共に
- 2回目:2から4週後:他のワクチンと共に多くは4週後
- 3回目:6ヶ月から1年後:里帰りを利用して
B型肝炎
- 1回目:他のワクチンと共に
- 2回目:4週以上後:他のワクチンと共に多くは4週後
- 3回目:6ヶ月から1年後:里帰りを利用して
日本脳炎
- 1回目:他のワクチンと共に:3回接種済なら1回のみ
- 2回目:3回接種済が確認できない場合:2から4週後:他のワクチンと共に多くは4週後
- 3回目:3回接種済が確認できない場合:1年後:里帰りを利用して
狂犬病
- 1回目:他のワクチンと共に
- 2回目:7日後:多くは他のワクチンとは別に
- 3回目:21日か28日後:多くは他のワクチンと共に
- 4回目:1年から2年後に追加接種:3年から5年毎に追加接種
麻疹、風疹
- 成人は1回は接種
髄膜炎菌
- 12歳以上は1回
H30.4.25更新
輸入狂犬病ワクチン
狂犬病は現在日本では感染した動物は確認がありません。海外で犬やコウモリに噛まれ帰国後に発症した報告はあります。発病後の生存の報告は1例のみです。きわめて危険な感染症です。世界では下の図のように危険地域が示されます。東南アジアが危険度が高いのが示されています。
出典:厚生労働省ホームページ
危険な動物は地域によって異なります。
- アジア、アフリカ;犬、ネコ
- アメリカ、ヨーロッパ;キツネ、アライグマ、スカンク、コウモリ、ネコ、犬
- 中南米;犬、コウモリ、ネコ、マングース
上記の動物に咬まれたり、傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることで唾液を介して神経系の細胞に感染します。爪で引っ掻かれても危険があります。子供の場合は親に正直に報告するように叱らずに良く聞き取ることが大切です。
WHOが定めた治療基準
狂犬病又はその疑いのある飼育動物や野生動物との接触、又は観察不能な動物との接触の状況、処置方法
■カテゴリー1(危険性なし)
- 動物に触れたり、餌を与えた。
- 動物に傷のない皮膚をなめられた。
処置必要なし
■カテゴリー2(低い危険性)
- 動物に直接皮膚をかじられた。
- 出血を伴わない引っ掻き傷やすり傷ができた。
ただちにワクチン接種を開始するが、10日間動物が健康であるか、剖検して狂犬病が否定された場合は中止する
■カテゴリー3(高い危険性)
- 1ケ所以上の咬傷や引っ掻き傷ができた。
- 動物に粘膜をなめられた。
- 動物に傷のある皮膚をなめられた。
- コウモリとの接触。
ただちに抗狂犬病ガンマグロブリン(RIG)とワクチンを開始するが、10日間動物が健康であるか、剖検して狂犬病が否定された場合は中止する。
暴露後(噛まれた後)のワクチン
- ワクチン未接種:0, 3, 7, 14 ,28日( +0日 RIG)
または0日に2本接種し(+0日 RIG)7, 14 ,28日に接種 - ワクチン接種済:0, 3日
ワクチン
世界では多くのワクチンが発売されています。日本でも国産のワクチンはありますが、生産数量が少なく、ほとんどの医療機関では入手できません。接種回数も多く、有効になるまでに6ヶ月かかるので、急な出張や旅行には向きません。
当院では海外で実績のあるSanofi Pastuer社のVerorabを輸入し、接種を開始しました。
接種方法は
1回0.5mlで3回筋肉内接種1年後に追加接種です。5年ごとに追加接種。
初回接種日を0日として0,7,28日に接種します。急ぐときは3回目を21日に接種します。
2回接種では接種なしとみなされ現地ではそれより回数の多いワクチン接種となります。
3回接種していても噛まれたら(暴露後)ワクチン接種は必要です。
3回接種しておけば噛まれても放っておいて良い訳ではありません。
国内未認可ワクチンなので通常の医薬品被害補償は受けられません。一応、輸入商社が加入している保険はありますが、保障がつくとは確約できません。そこを理解して頂いた方だけに接種します。
保障は↓
http://www.monzen.co.jp/html/newpage.html?code=35
狂犬病の流行地域に渡航する場合であって、動物との接触が避けられない、又は、近くに医療機関がないような地域に長期間滞在するような方は、渡航前に予防接種を受けることをお勧めします。
接種の予定日は会社の出張などの調整が必要な事が多くあります。他のワクチンを会社などで指定された医療機関で接種される方もいます。
電話では意志の疎通が上手くできません。時間も長くかかることが多いようです。事前に一度来院してご相談下さい。
相談料 3000円 イエローカード(ワクチン接種記録)は別途 1100円です。
狂犬病ワクチン1回13000円です。
参考に
H29.4.10更新
フルミスト
現在普通に注射しているインフルエンザワクチンの予防効果は30%位と云われています。特にB型は効果が低いとされます。以前から日本のワクチンはアジュバントと呼ばれる効率よく抗体産生を促す添加剤もなく、ウイルスの抗原のみが入った日本型のスプリットワクチンは抗体の上がりが悪いとされています。プライミングつまりワクチンだけでインフルエンザに罹患しないような免疫を獲得するのは困難とされてきました。
ですから新型インフルエンザ流行年には0歳児に日本のインフルエンザワクチンを打っても効果が期待できず接種しませんでした。注射によるワクチンでは血液中にしか抗体は生成されませんが、インフルエンザは鼻腔で増殖して発熱などの症状が先行します。その後ウイルスが血液中に侵入し、抗体と出会います。
そのため、発病予防効果は低いのです。最近は製造工程でインフルエンザワクチンの遺伝子型が変化してしまい効果が低下することも分かってきました。もっと有効なワクチンはないかと検索し、今回の生ワクチンに注目しました。報告によれば発症阻止率は80%位です。
アメリカのMedImmune社が製造し、2003年にアメリカ食品医薬品衛生局(FDA)に認可されたワクチンです。既に多くの使用実績があり、安全性が認められています。2011年から欧州でも認可され発売されています。
2013年には当院関係者を中心に接種し効果と安全性を実感しました。2014年には当院関係者以外にも接種をしましたが、発症したとの連絡は10%以下でした。
良い点は
- FluMistは生ワクチンを鼻腔に噴霧するのでウイルスの人体への進入経路でブロックできます。
- 生ワクチンのため多少株が違っていても効果が期待できます。
- 一昨年からA型2種とB型も2種の株型が入り、合計4種です。日本のワクチンは今年からB型は2種類に増加しました。
- 注射と違い痛くありません。
- アメリカのCDCによれば約1年間効果が持続します。国内注射型は4か月位とされています。
- 予防効果が長く、B型にも効果があるので受験生には良いでしょう。
接種方法
- 針のないシリンジで両側の鼻腔に霧状に噴霧します。
- 2歳以上、50歳未満のかた
- 9歳未満でインフルエンザワクチンを接種した事が無いか、または、インフルエンザに罹患した事がない方は2回接種。
- 1度でもインフルエンザにかかったり、インフルエンザワクチンを接種したことがある人(ほとんどの方)は1回接種。
- ワクチン有効期間が長い。アメリカのCDCによれば約1年間効果が持続します。国内の注射ワクチンは4か月位とされています。
その他FluMist動画で検索すると投与方法は見えます。
注意すべき点
- 厚労省認可のワクチンではありません。通常の予防接種の公的補償は受けられません。一応輸入商社の事故補償はありますが確実な補償は期待できかねます。自己責任です。以前当院で輸入していた不活化ポリオと同じです。
輸入ワクチン副作用被害救済補償制度について
- 生ワクチンなので接種後、数日間軽いかぜ症状(咳・鼻など)をみとめることがあります
接種できない方
- 2才未満の方、50才以上の方
- 5才未満で今までに喘息を指摘されたことのある方、1年以内に喘息発作をおこした方
- 心疾患・肺疾患・肝疾患・糖尿病・貧血・神経疾患などの慢性疾患を持つ方
- 免疫不全者と接触を持つ方
- アスピリン内服中の方
- 妊婦またはその可能性のある方
- 重度の卵アレルギー
- 以前のワクチン接種でギランバレー症候群の既往のある方
予約方法
- 令和2年度の予約を開始します。
- 今年度は少量の入荷です。
- 10月中は当院受診歴のある方のみとします。
- このホームページやフルミストで検索して納得した方は電話で予約をして下さい。
- 電話で予約を受けます。0276-26-1000
- 当院内科休診時間帯の月、火、水、金の14:30から16:00までの時間のみです。
- 数に限りがあります。予定数を超えたら受付終了です。
- 輸入ワクチンですのでキャンセルのないようにはっきりした希望者のみ電話下さい。
- 電話でのワクチンの内容への問い合わせには対応出来かねます。
- 1回8,500円(内税)です。
R2.10.12更新