小児科・内科・循環器内科
モバイルサイトはこちらから
甲状腺とは
首の前面、「のどぼとけ」の下にある蝶々のような形をした小さな臓器です。
主なはたらきは、体の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを分泌し、体内のバランスを整えることです。この甲状腺ホルモンが分泌されることにより、私たちは体温を適正に調節し、心臓や胃腸のはたらきを活性化することができます。
また、こころのバランスや睡眠リズムを整えてくれる作用もあります。
しかし、なんらかの原因により甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、全身でさまざまな症状を呈することがあります。
甲状腺疾患の種類とその症状
甲状腺のホルモンが過剰分泌された時の症状(代謝が活発すぎる状態)
- 胸がどきどきする
- 汗が多く出る
- 暑がりになった
- 食べているのに痩せてしまう
- イライラする
- 手が震える
- 疲れやすい
- 十分な睡眠がとれない
- 月経異常
- 不妊
甲状腺のホルモンが分泌されにくい時の症状(代謝が滞っている状態)
- 体重が増えた
- むくみ
- 寒がりになった
- 疲れやすい
- やる気がおきない
- 便秘
- 髪の毛が抜ける
- 十分睡眠時間は取れているはずなのに眠い
- 月経異常
- 不妊
妊娠・出産に関する甲状腺疾患
甲状腺の病気をもっている女性は、妊娠・出産に際して、適正に甲状腺機能を維持する必要があります。
一般的に、甲状腺の病気をもっていると妊娠しにくい傾向となります。
また、いったん妊娠できたとしても、妊娠を維持することができず流産をしてしまうケースもあります。
当院では、そのような女性を対象に甲状腺機能の検査や治療を行っております。
きちんと治療し管理すれば、安全に出産でき授乳も可能です。
更年期障害と思っていたら…
上記に示すように、甲状腺ホルモンのバランスが崩れてしまうと様々な症状を呈します。また、甲状腺の病気は女性に多くみられ、男性に比べるとその数は10倍にものぼります。
一般的に更年期とされる閉経に近い年齢の女性のなかには、更年期障害と思っていたら実は甲状腺の病気が隠れていたということがあります。ほとんどの甲状腺の病気は診断や治療が可能です。
「更年期かしら」、「更年期だからしかたない」と思わず、一度病院で検査を受けることをお勧めします。
どうやって診断するか
- 問診
- 触診
- 心電図
- 血液検査でホルモンの値を測定
- 自己抗体を調べる
- 甲状腺を超音波検査でみる(※穿刺細胞診が必要な方は、専門病院へ紹介させて頂きます)
治療
内科的治療、外科的治療、放射線治療に大きく分かれますが、当院では内科的治療を行っております。
甲状腺ホルモンの分泌が過剰な時には、分泌を抑える薬を飲む必要があります。
また、分泌が不足している時には、薬により甲状腺ホルモンを補います。甲状腺機能低下症の時に服用する甲状腺ホルモンの薬は、安全なもので、妊娠中や授乳中にも内服することができます。
さらに、甲状腺機能の異常があると浮腫や不整脈、心不全などの心臓病を合併することがあり、「thyroid heart サイロイドハート;甲状腺心」と呼ばれます。当院では、甲状腺疾患と合併した心臓病の症状も、循環器専門医とともに治療していきます。
一方、甲状腺の病気の中にはしこりを形成するものもあります。悪性であれば手術を要することがあります。
また良性であったとしても内科的治療ではコントロールがつきにくいケースや、しこりが大きくなって周辺の気管などを圧迫するようなケースでは手術をすることがあります。