小児科・内科・循環器内科
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- 輸入狂犬病ワクチンについて(H28.8.14更新)
- デング熱について(H28.7.27更新)
- フルミスト=FulMist(経鼻インフルエンザ生ワクチン)について(H26.6.16更新)
- 新4種混合ワクチンかDPT+IMOVAX POLIOか?(H25.7.3更新)
- ポリオワクチン接種の必要性(H24.1.12更新)
輸入狂犬病ワクチンについて
本年4月から海外製狂犬病ワクチンを接種し始めました。意外と需要は多いようです。しかし、いくつか問題点が出てきたので記しておきます。
最近”アムネット”と名乗る会社から電話があり、窓口で精算せず会社への請求としほしいと突然言われました。一度も会ったこともなく知らない会社だったので電話一本で事を済まそうとする無礼な人だなと思いました。会社からのFAX1本もありません。接種は可能ですが窓口で精算して下さいと言いました。事務員から家族に電話して窓口決済で大丈夫とのことで予定を入れていましたが予約前日に突然キャンセルの通告をしてきました。その後始めてインターネットで会社を調べました。似た名前の会社がありどれかははっきりしません。 田舎で輸入ワクチンを接種する側には色々リスクがあります。こんな経験からも出来るだけ身分を示すものや電話番号などを知らせて下さい。海外赴任前に接種に来院できる日が限られている人も多いようです。ワクチンの接種スケジュールを決めるためにも一度来院して下さい。
第二に、海外で動物に噛まれて現地で処置を受けずに帰国して狂犬病ワクチンを希望される問い合わせが1ヶ月だけで数件寄せられました。ずいぶん危険な方が多いのだと実感しました。先日の旅行医学会で元駒込病院の高山直秀先生の講演があり、暴露後の接種でも発症予防は可能だとのことでした。講演後直に個人的に(海外製のVerorabの渡航前=暴露前接種を開始しまたがこのワクチンでの暴露後の接種で問題はありますか)質問しました。先生は国産の化血研のワクチンなら健康保険がきくので暴露後は化血研ワクチンが良いとのことでした。その後、化血研を扱っているアステラス製薬のプロパーさんに聞いても即日の納入は難しいとのことでした。接種は 0, 3, 7, 14, 28, 90日です。噛まれたその日に現地で第1回目の暴露後接種を受けて(海外性ワクチン)帰国した方には前もって準備して対応も出来ますが、噛まれたあと何日か経って連絡をいただいても効果が確実でなく、時間が経つほど発症の危険が増します。前述の通り、当院のVerorabは健康保険は適用外で自費です。
アステラスの会社のワクチン担当の人に来てもらい、確認しましたが暴露前では7日間はかかりますが、噛まれた後で要請があれば2~3日後の納品ですと言われました。噛まれてから当日現地でワクチン接種をせずに1,2日後に帰国してからの連絡では手遅れになる恐れがあります。現地での対応が大切です。日本語が通じる医療機関があれば相談して下さい。また、帰国時には検疫所にはワクチンがあるようですし必ず相談して下さい。
今月、院長が今年利用した海外旅行の保険(東京海上日動)に電話で問い合わせたところ海外旅行中に噛まれたような事故があった場合、診断書があれば当社では保険が適応され料金は後で保険会社から還付されるとのことでした。契約時や事故の時に問い合わせると良いでしょう。他の保険会社は確認していません。同様に問い合わせて下さい。
H28.8.14
デング熱について
昨年デング熱のNS1キットが保険収載されましたが、入院を前提とする重症例しかみとめられません。
当院では一昨年のデング騒動時にNS1とIgMの双方が確認できるキットを購入しました。昨年秋と今年春に2例の陽性例を経験しました。共に海外旅行後の発症でした。夏でもないのに複数例の陽性例があり驚きました。当院のような小さい診療所で続いて経験しており、総数は相当多いのではと思います。今年の夏の輸入症例は注意が必要でしょう。今年はオリンピックもありジカ熱も心配です。ジカ熱はまだ診断キットがなく症状はデング熱に似ていてNS1抗原が陰性です。診断は保健所を通して県の衛生研究所に依頼しなければなりません。容易に抗体検査を依頼できる体制が整うことを願います。
H28.7.27
フルミスト=FulMist(経鼻インフルエンザ生ワクチン)について
現在普通に注射しているインフルエンザワクチンの予防効果は30%位と云われています。特にB型は効果が低いとされ、今期はA型、B型ともに罹患した児童も多く見られました。以前から日本のワクチンはアジュバントと呼ばれる添加剤もなく、プライミングつまりワクチンだけで1回もインフルエンザに罹患しないようにするのは困難とされてきました。ですから新型インフルエンザ流行年には0歳児に日本のインフルエンザワクチンを打っても効果が期待できず接種しませんでした。注射によるワクチンでは血液中にしか抗体は生成されませんが、インフルエンザは鼻腔で増殖して発熱などの症状がウイルスが血液中に侵入し、抗体と出会う前に症状が早期に出現します。そのため、予防効果は低いのです。また、日本型のスプリットワクチンは抗体の上がりが悪いとされています。最近は製造工程で遺伝子型が変化してしまい効果が低下することも分かってきました。もっと有効なワクチンはないかと検索し、今回の生ワクチンに注目しました。報告によれば発症阻止率は80%位です。
アメリカのMedImmune社が製造し、2003年にアメリカ食品医薬品衛生局(FDA)に認可されたワクチンです。既に多くの使用実績があり、安全性が認められています。2011年から欧州でも認可され発売されています。
昨年、当院では少数ながらインフルエンザ生ワクチンであるフルミスト(FluMist)を輸入し、使用しました。投与した全員がインフルエンザには罹患しませんでした。今年は本数を増やして希望者に接種する予定です。
良い点は
- FluMistは生ワクチンを鼻腔に噴霧するのでウイルスの人体への進入経路でブロックできます。
- 生ワクチンのため株が違っていても効果が期待できます。
- 昨年からA型2種とB型も2種の株型が入りました。合計4種です。日本のワクチンはB型は1種類で3株です。
- 注射と違い痛くありません。
- アメリカのCDCによれば約1年間効果が持続します。国内注射型は4か月位とされています。
- 予防効果が長く、B型にも効果があるので受験生には良いでしょう。
接種方法
- 針のないシリンジで両側の鼻腔に霧状に噴霧します。
- 2歳以上、50歳未満のかた
- 9歳未満でインフルエンザワクチンを接種した事が無いか、または、インフルエンザに罹患した事がない方は2回接種。
- 1度でもインフルエンザにかかったり、インフルエンザワクチンを接種したことがある人(ほとんどの方)は1回接種。
- ワクチン有効期間が長い。アメリカのCDCによれば約1年間効果が持続します。国内の注射ワクチンは4か月位とされています。
その他FluMist動画で検索すると投与方法は見えます。
注意すべき点
- 厚労省認可のワクチンではありません。通常の予防接種の公的補償は受けられません。一応輸入商社のMONZENの事故補償はありますが確実な補償は期待できかねます。自己責任です。以前当院で輸入していた不活化ポリオと同じです。
輸入ワクチン副作用被害救済補償制度について - 生ワクチンなので接種後、数日間軽いかぜ症状(咳・鼻など)をみとめることがあります
接種できない方
- 2才未満の方、50才以上の方
- 5才未満で今までに喘息を指摘されたことのある方、1年以内に喘息発作をおこした方
- 心疾患・肺疾患・肝疾患・糖尿病・貧血・神経疾患などの慢性疾患を持つ方
- 免疫不全者と接触を持つ方
- アスピリン内服中の方
- 妊婦またはその可能性のある方
- 重度の卵アレルギー
- 以前のワクチン接種でpsギランバレー症候群の既往のある方
予約方法
- このホームページやフルミストで検索して納得した方は電話で予約をして下さい。
- 電話で予約を受けます。0276-26-1000
当院内科休診時間帯の月、火、水、金の14:30から16:00までの時間のみです - 数に限りがあります。予定数を超えたら受付終了です。
- 輸入ワクチンですのでキャンセルのないようにはっきりした希望者のみ電話下さい。
- 電話でのワクチンの内容への問い合わせには対応出来かねます。
- 輸入会社からは10月までには届くとの事です。10月10日からを予定しています。
- 1回7000円です。
- 問診票は、こちらのPDF問診票をダウンロードし、記入の上、ご来院ください。
H26.6.16
新4種混合ワクチンかDPT+IMOVAX POLIOか?
最近、保険センターからポリオに関しては新4種混合ワクチンの予診表のみが各家庭に配布されています。同じ定期接種のDPT+IPVは配布もなく、保健婦さんからの説明も十分ではありません。以前にも書きましたがこの新4種混合に入っているポリオワクチンは今まで飲んでいた生ポリオ(セービン株)から作られた世界で初めてのワクチンです(sIPV)。当院などが海外から輸入していたポリオワクチンはソーク株から作ったワクチンで今までに数億回の実績があります。強化型の意味でeIPVといわれます。
一時、国産IPVを製造承認をポリオ研が申請した時はデータがでたらめで承認されませんでした。まるで今回eIPVの外国からの緊急輸入ではなく、sIPV認可は役人の天下り先であるポリオ研を存続させる為に行ったようにも思われます。 sIPVの問題点は治験段階で抗体の上昇が問題となり、抗原量を調整しています。又、発熱などの副反応も多く報告されています。一番の問題は世界で最初のワクチンであり抗体の持続期間が不明です。アメリカのCDCからはIPVを4歳までに受けて終了している人は4歳以後に必ず追加接種をするように勧告をしています。このまま2歳未満でsIPV4回のみでは20年後に抗体が残っているか新型ワクチンであることと抗体の持続が短い点で二重に不安です。
なぜ実績のあるeIPVを行政は意図的に除外するのでしょう。2種類のIPVの接種方法の利点と欠点を説明なしで(どちらも定期接種なのに)問診票を配布するのはおかしいと感じています。数ヶ月後には国産DPT+eIPV のワクチンが発売されますが、当院ではIMOVAX POLIO単独接種を第一選択法とし、希望があれば新4種混合ワクチン接種とします。
H25.7.3
ポリオワクチン接種の必要性
今年生ポリオワクチンの接種率が低下しており、ワクチンを受けない人が増えています。当番で集団接種に出務しての実感では激減しています。ここまで接種率が低下すると野生ポリオの進入と流行が心配されます。
ポリオワクチン接種を中止する事は出来ませんが、生ポリオを無批判に推進するには抵抗感があります。
一昨年小児科学会は 不活化ポリオの必要性は認めながら生ポリオの数年間の続行を提言しました。しかし、現在不活化ポリオワクチン推進の中心になっている有志の方からすぐに海 外のワクチンを緊急輸入するべきとする意見書が小児科学会に提案されています。実際、これだけマスコミなどを通じて情報が広がれば生ポリを受けたくない母親の気持 ちは想像できます。政府からの勧奨の動きは目につきません。テレビCMもありません。ポリオ流行の危機とは厚労省は深刻には考えていないようです。
ヒブ、肺炎球菌の同時接種の問題では数億人に接種して安全性が認められているヒブや肺炎球菌ワクチンを中止しなくても良いのに中止し、 ワクチンに対する不安を煽りました。結局因果関係は認められず再開となりましたが、因果関係のはっきりしている生ポリオは中止していません。世界ではOPV由来のポリオの流行!が報告されています。
今後の方針についても問題はあります。小宮山厚労大臣は平成24年秋に不活化ポリオを導入するように督励しているとのことです。この 時点で来年の方針を発表すればOPVもIPVも接種せずに待機する人が増加するのは明白です。しかも、これはDPT+IPVなのかIPV単独なのかが不明 です。また、OPV(Sabin株)から作るIPV(sIPV)については世界で初めてのワクチンです。実績は全くありません。初期免疫はDPTのスケジュール通りに3回と1 年後の計4回で終了してしまうのでしょうか。世界中で使用されているIPVの様に4歳から6歳での追加接種を行うのでしょうか。sIPVを接種した後に現 在輸入しているIPVを接種して抗体の上昇は確実なのでしょうか。何故実績のあるIPVを早期に認可しないのでしょうか。やはり、実績のある海外IPVワクチン(IMOVAX)の緊急輸入が必要です。新型インフルエンザの時には実施した事で出来ないことではないです。
H24.1.12